2013年5月15日水曜日

米国「暴力税」を検討中?

関係者がPolitico紙に語ったところによると、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領は、非公開のミーティングの席上、暴力的なメディアに"Sin Tax"を課税することは、「法的には不可能ではない」(there’s no legal reason why they couldn’t)と述べたそうです。

サンディ・フック(Sandy Hook)小学校で起きた銃の乱射事件の犯人が「暴力的な」ゲームソフトを大量に所有していたことから、ゲーム等のメディアにおける暴力表現を現実の暴力と結びつけようとする人が後を絶ちませんが、先月末になって暴力的な内容を含むゲーム等のメディアに酒やギャンブルやタバコと同様"Sin Tax"を課税すべきだという意見が浮上してきました。これに対する副大統領の回答が上記のとおり。

税金は公平に負担するのが基本だと思うのですが、こんな税金が導入されたら不公平極まりない制度になってしまうでしょう。

記事では"violent media"という表現が使われていてゲーム以外のメディアも対象になると思われので、映画を例に考えてみると、スティーブン・スピルバーグの「E.T.」は非課税だけど、マーティン・スコセッシの「タクシードライバー」とかサム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」は暴力的だから課税とか、スピルバーグの映画でも「プライベート・ライアン」は戦争描写がリアルだから課税とか、どう考えても不公平でしょう。

"violent media"への課税で得た税収を暴力事件の被害者や遺族への補償の財源にすることが検討されているようですが、暴力的な事件を無くせはしないにしても、減らす努力をするのが先ではないでしょうか。事件が起こった後に金銭的に保証されたって、死んだ人間は生き返らないのですから。

そもそも科学的に悪影響があることが明らかになっている酒やたばこやギャンブルと違い、メディアにおける暴力表現が現実の暴力の原因になると考える根拠は(今のところ)ありません。

というか、人間の精神活動は暴力的な情報が入力されたら暴力的な行動を出力するというような単純なものではありません。そんなことが科学的に証明可能とはとても思えません。

「政治的に何かしなくちゃいけないんだけど本丸の銃規制はめんどくさいからとりあえず何かやってお茶を濁しておこう」という政治的な思考がダダ漏れです。

セカンド・レイプという言葉がありますが、「セカンド・キル」とか「セカンド・マーダー」という言葉もあるのでしょうか。あまり使いたくない表現ですが。

ソース:
Vice President Sees No Legal Hurdles in Enacting Sin Tax on Violent Media | GamePolitics
http://www.gamepolitics.com/2013/05/13/vice-president-sees-no-legal-hurdles-enacting-sin-tax-violent-media

0 件のコメント:

コメントを投稿