2013年4月24日水曜日

Dead Island: ゾンビを撲殺したり斬殺したり刺殺するのを楽しむゲーム



Dead Island: Riptideの前作、Dead Island: Game of the Year Edition(日本語版はZombie of the Year Edition)のご紹介。

Dead Island本編に3本のDLC(Ripper Mod、Bloodbath Arena、Ryder White's  Campaign)をバンドルしたお買い得版です。新作のDead Island: Riptideでは前作のプレイデータを引き継げるようなので、こちらを先にプレイしたほうが、新作をより楽しめるかもしれません。

一人称視点・オープンワールドのハック&スラッシュ系アクションRPGで、システム的に近いゲームは、ボーダーランズでしょうか。キャラクターのスキル育成や武器のレベルアップ・改造にこだわっているゲームです。

タイトル通りのゾンビゲームですが、近接戦闘にフォーカスしたことが功を奏し、銃をメインにしたゾンビゲームにありがちな、ショットガンをひたすら撃ちまくる単調な展開を回避することに成功しています。

プレイアブル・キャラクターは、投擲を得意とする元アメフト選手のLogan Carter、一発屋のラッパーで鈍器を得意とするSam B、特殊部隊員で刃物を得意とするXian Mei、銃を得意とする元警官でボディガードのPurna Jackson、Ryder White DLCの追加キャラで本編では敵として登場する軍人のRyder Whiteの計5人。

GOTY版では最初からRyder Whiteをプレイできますが、Ryder Whiteを選択すると本編のストーリーとは異なるRyder White's Campaignをプレイすることになります。Ryder White's Campaignでは敵のRyder Whiteの視点からみた物語が展開されるので、本編の主人公で一通りクリアしてからRyder White's Campaignをプレイした方が楽しめます。驚愕するような展開で、本編のラストが全く違って見えるはずです。

最初にプレイするのはLoganかSam Bの男性キャラ二人のどちらかがおすすめです。どちらも体力がある上、レベルが上昇すると体力回復のスキルを身につけることができます。

Loganは武器を投げつけて戦うため敵と距離をとれるので、Thugなどの中ボスとの戦闘が楽ですが、投げつけた武器を回収しないといけないという弱点があります。敵が少ない場面では大して問題ないのですが、ゾンビが次々とスポーンしてくる場面では武器の回収が間に合わず、下手をすると素手で戦うしかなくなってしまいます。

Sam Bの弱点はスタミナでしょうか。特に序盤では戦闘中のスタミナ切れに悩まされると思います。

一方、女性キャラのXianとPurnaの二人は難しいです。

Xianは、攻撃力の高い刃物を得意とする上にスタミナがあるので、戦闘力自体は高いのですが、体力が低いので、とても簡単に死にます。自分のプレイデータを調べてみたら、Sam Bの倍ぐらい死んでました。ただ、ボス戦などで苦労したという印象もなくて、移動の途中でザコの不意打ちを喰らってあっさり死んでしまう事が多かったように思います。

そんなXianにはLife Insurance(生命保険)といって、死亡時にペナルティとして失うお金を最大45%減らせるという、実に後ろ向きなスキルがあって素敵です。

Purnaは、そもそもこのゲームでは銃は強力な武器ではない上、弾の入手が難しいので、活躍する場面が限られてしまいます。

各キャラクターには固有のスキルツリーがあり、レベルが上昇するごとに獲得するスキルポイントを割り当てることでスキルを身につけていきます。

この辺りのシステムはボーダランズによく似ているのですが、ボーダーランズにあるクラスモッドのような、能力を動的に変えるシステムはありません。

つまり、ゲームの最初にどのキャラクターを選ぶかでプレイスタイルがほぼ決まってしまい、最後までプレイヤーがキャラクターに合わせてプレイする必要があります。RPGなので仕方がないとも言えますが、「戦士」とか「魔法使い」みたいに分かり易くないのが困りものです。実際にプレイするまでどんなスタイルで戦えばいいのかわからないのですから。

もっともこの辺りのキャラクター設定は、Co-opでのプレイを念頭に置いたもののように思えます。

XianとSam Bが前衛で、敵と距離が取れるLoganとPurnaは後衛。銃はあまり強力な武器ではないと書きましたが、一方で銃は衝撃力が高く、かなりの確率で敵をノックダウンできるので、Purnaが銃でノックダウンした敵を前衛のXianかSam BがStomp(踏みつけ攻撃)で止めを刺すような戦術を念頭に置いているのでしょう。

またSam BにはDecoy(囮)という敵を引き寄せるスキルがあり、いわゆるTankの役回りで敵の攻撃を引き付けて、体力のないXianをサポートするのだと思います。一方のXianにはSpectreという敵の注意をひかないスキルがあったりします。Sam Bは体力はあってもスタミナはないなどXianと対照的です。

近接戦闘がメインなので、ゾンビを鈍器で撲殺したり刃物で斬殺したりするのですが、頭を狙って一撃で殺さずに、手足などの部位欠損を狙うのがお勧めです。というか、そういうのを楽しむゲーム。

鈍器でゾンビの手を殴ると、「グキッ」という音とともにゾンビの手が折れてブランブランになったりします。敵もさるもので、片手を折られると今度は反対側の手で殴りかかってきます。で、残りの手も折ってやると、次は頭突きをしてきます。Dead Spaceのネクロモーフか矢吹丈なみのしつこさです。

PC版はキーボードとマウスでも操作できますが、振動機能付きのパッドを使うとゾンビの腕を折ったりしたときに「ズン」と振動があったりして雰囲気が出るので、ゲームパッドでのプレイがおすすめです。私は最初はキーボードとマウスでプレイしていたのですが、途中からXbox 360コントローラを使ってプレイしました。

戦闘描写のゴアっぷりスプラッタぶりは相当なもので、ちぎれた手足がぶっ飛んでいくわ、血と肉片が飛び散るわ、電撃くらったゾンビは湯気をたてているわ、これ日本語版は大丈夫なの?と余計なお世話の心配をしてしまいます。少なくともPrototypeの比ではないし、Dead Spaceのネクロモーフとは異なり、見た目は人間なので、かなり刺激は強いです。そういうのが大好きな私のような人間にはたまらないゲームですが。

ちぎれた肉片を集めてゾンビをおびき寄せるエサ(Meat Bait)をつくったりもできます。

ゾンビをおびき寄せるエサ(Meat Bait)を作成するには、Mod(日本語版では設計図)を入手する必要があります。ModといってもPCゲームのModではなく、日本語版の名称通り設計図です。アイテム作成の他に武器の改造にも必要になります。

Modは主にクエストの報酬として入手できますが、マップ上に無造作に置きっぱなしになっているModもあります。特定のクエストを完了してしまうと入れなくなる場所に置かれたModもあり、そういうModは入手し損ねると、もう一周するか、Co-opでクエストを完了していない人に一緒にプレイしてもらうしかありません。

Modを使って武器を改造すると武器に属性を与えることができます。改造によって属性が与えられた武器は、通常のダメージに加え、属性ダメージを与えられるようになります。

Modのシステムは、このゲームの特徴の一つですが、同時にゲームの短所でもあります。

まず無駄に数が多い。

例えば、銃を改造するModは銃の種類と属性毎に分かれています。ゲームに登場する銃の種類は、拳銃・ライフル・ショットガンの3種類。属性は炎・電撃・衝撃・毒の4種類あるので、銃だけで12もModがあるのですが、改造によって得られる効果と、属性を与えるのに必要なアイテムは、銃の種類に関係なくどのModも同じです。拳銃だろうとライフルだろうとショットガンだろうと、必要なアイテム・与える効果に違いはないのに、銃の種類毎にModだけが別々になっています。

ちなみに銃以外の鈍器や刃物には、前述の四属性に加え、さらに出血やクリティカルといった属性もあるので、最初は覚えるのに一苦労です。しかも名前がわかりくい。Devastating Home Runてなんだよ。凄いそうなのは分かるけど、何が凄いのか分かり難いだろ。Pick-a-chooとかゲーム違うだろ。任○堂に許可取ってんのかよ。(○天堂に配慮したのか分かりませんが、日本語版ではビッグ・ボルトという名称のようです)

DLCで追加されるModを含めると、全部で70以上ものModがあり、武器を改造したりアイテムを作成する度に長い長いModのリストをスクロールするのは、はっきりいって苦痛です。このあたりはRiptideで改善されることを期待しているのですが...。

Modシステムのもう一つの問題は、Modのためにハック&スラッシュの面白さを損ねていることです。

ハック&スラッシュのゲームなので、登場する武器は多種多様なのですが、武器の属性は入手後にModを使って与えるシステムなので、入手できる武器は改造のベースにすぎず、種類とかレアリティはあまり重要ではなくて、単にダメージとか衝撃力とか耐久性といったスペックさえ高ければ、あとはModで好きにカスタマイズできるわけです。

しかも強力なModで改造できる武器の種類は限られているので(鈍器であればバットとか金棒、刃物であればマチェーテとか)、ゲームの後半になると強力なModが無い武器は使い道が無くなり、持っていてもインベントリを無駄に消費するだけなので、インベントリには金属バットとマチェーテばかりが並んでいるという、ハック&スラッシュのゲームにあるまじき展開になってしまいます。

他にこのゲームの欠点を挙げるとすると、ストーリーでしょうか(笑)。好意的にいえば、主人公たちが受動的。ストレートにいえば、行動が行き当たりばったりで何も考えてない。

この思いはDLCのRyder White's  Campaignをプレイすると一層強まり、というか、すっかり敵のRyder Whiteに共感してしまい、「Ryder Whiteを主人公にした方が面白かったんじゃないか?」と思わずにいられません。本編をクリアした人は、ぜひDLCのRyder White's  Campaignもプレイしてください。

細かい不満をいうと、道が狭い。

オープンワールドなので、移動手段、このゲームでは車が重要ですが、市街地ならいざ知らず、ジャングルの中で何度も切り返さなきゃ車を方向転換できないってどうよ?車の種類も少ない、っていうかピックアップトラックしか出てこない。全部ピックアップトラックで色が違うだけ。個人的にはフェラーリとかでゾンビを轢殺したかったです。

あとお姉ちゃんが不細工。

ゾンビが不細工なのは仕方ないですが、ゾンビじゃないお姉ちゃんの顔もゾンビと五十歩百歩なので、南国のリゾートでナイズバディのパツ金のお姉ちゃんとかを期待すると、激しく失望します。というか、失望しました。

荒も目立つものの、総じて良くできたゲームで、同じ残酷系のゲームでもDead Spaceとはテイストが異なりますが、Prototypeなんかが好きな人には面白いゲームではないでしょうか。

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